「Fellows」と「塗りつぶして行け!」
9月13日、ASKAさんのニューアルバム「Black&White」から、「Fellows」「塗りつぶして行け!」の2曲が先行配信された。早速ダウンロードをして聴いている。
「Fellows」に関しては、8月1日にそのカラオケがyoutubeにて「君が、作詞作曲してみな!」というタイトルで公開されていた。いわゆる「才能はあるのにまだ日の目を見ない」シンガーに、このカラオケを使って独自の作詞作曲をyoutubeにアップロードしてみようと呼びかけた企画だった。
一つのカラオケから無限の「歌」が生まれるという音楽の多様性、素晴らしさを具現化する企画であったし、アップロードされた作品をASKAさんがすべて聴き、シンガーとしての素質とセンスが感じられた数人に、DADAレーベルから声をかけるという何とも風通しのいいオーディションの場にもなった。
これは音楽業界に限らないと思うけれど、インターネットが生活に深く根付いてから、誰もが発信者=表現者として耳目を集める機会を得るようになった。小説にしても、写真にしても、不特定多数のネットユーザーに向けて発信し、無制限に拡散することが可能になった。
しかしながらその利便性は同時に、アップロードされる作品を気が遠くなるほど増やし、大いなる玉石混淆を招き、才能ある表現者を発見しにくくなったというジレンマを抱えているのが現状だと思う。
今回のASKAさんの試みが面白かったのは、すでにカラオケが用意されている点だった。つまり、(音楽に精通していないリスナーにとっても)アップロードされる作品の独自性を相対的に見極めやすい課題だった。
今回「Fellows」が先行配信されるにあたって、ASKAさんはご自身のブログで「僕の「Fellows」が、優れているわけではなく。そして、答えでもありません。あくまでも、「僕の歌詞とメロディは、こうだ」というだけです。音楽は自由で無限なのですから」と記している。
http://aska-burnishstone.hatenablog.com/entry/2017/09/12/115707
ASKAさんはいま、ご自身の「音楽」にしっかりと向き合いながら、一般的な意味における「音楽」の行く末も見据えているように感じられる。それは決して簡単なことではなく、並大抵ではないキャパシティとバイタリティが必要だろう。
いま、ASKAさんの生き様に僕は、あらためて強く惹かれている。
ちなみに、今回の企画でアップロードされた作品は、どちらかといえば、ラブソングであったり、ポジティヴな気持ちを歌ったものが多かったと思うけれども、ASKAさんの「Fellows」は骨太というか、雄々しい歌のように感じた。チャゲアスでいうところの「CAN DO NOW」に近いと思う。(ちなみに僕は、このMVにおける4:57からのASKAさんの身振りが大好きだ)
気軽な前向きさではない。取り返しのつかないことをしてしまったという事実に真正面から向き合い、深い傷を負いながら「それでも」と立ち上がろうとする男の歌だと思う。
レコード
チャゲ&飛鳥の「熱風」と「21世紀」のレコードを購入した。
僕はレコードプレイヤーを持っていなかったけれど、
ASKAさんのブログ aska_burnishstone’s diary を読んで興味を持ち、
アンプ内蔵のスピーカーと併せて低価格のものを購入した。
レコードを聴いて驚いた。
僕は弾ける楽器もないし、学校の音楽の成績は2か3ばかりだったし、
音楽については全くの素人だけれども、レコードとCDまたはデータとの
圧倒的な違いを感じ取ることができた。
一つひとつの音の弾け方に個性があるというか、
メロディが立体的に聴こえてくるというか。
小学生の頃から、僕にとって音楽はCDやMP3で聴くものであったし、
僕と同じような人はたくさんいるだろうと思う。
もちろん、CDやデータの利便性や低コストは素晴らしいものであり、
その恩恵は忘れてはいけない。
だからいま、レコードが何より優れていると主張したいわけではない。
(そういう懐古主義は大抵うさん臭い)
デジタルとアナログの「どちらか」ではなく、「どちらも」楽しめるという
選択肢の豊かさを享受したいと思う。
ちなみに、レコードの「21世紀」にはアイロンプリントが入っていた。
僕がチャゲアスをはじめて知った頃、
飛鳥さん(ASUKAさん)は「ASKAさん」になっていた。
これからチャゲ&飛鳥のレコードを蒐集して聴いてみようと思う。
また、今年2月22日にリリースされたASKAさんのオリジナルアルバムの
「Too many people」もレコードになるという。
朗報です。 - aska_burnishstone’s diary
ひとつのアルバムを多角的なアプローチで聴くという音楽の楽しみを
いま強く感じている。